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 映画の、何に惹かれるかと云えば、スクリーンに映し出される光と陰の仮象の世界に繰り広げられる、いうなれば『人間の実験』のような出来事を眺める楽しみではないか。

 『さよなら渓谷』(監督 ・大森立嗣、2013年、DVD)は、集団レイプ犯の一人であった男と被害者の女性が同棲生活をおくるという実験である。

 どう考えてもあり得そうもない倒錯的なというと不適切か?だが、そうとしか云えそうもない。

 だが、実際には作品の進行に従って行くと、この二人の関係がさほどに驚くべきこととは思わなくなってくる。

 女性が罰し、男性は罪を償う、この関係は、普遍的な男女関係のひとつの在り方のようにも思えてくる。

 それは、とても強固な「絆」に変わって行くかもしれない。

 始まりは理不尽に蹂躙された女性ではあるが、今は、男のすべてを支配し、収奪できる。

 男は絶対的に悪である。

 男は女性の望むすべてを受け入れ、従わなくてはなくてはならない。

 それは、ほとんど「献身」・・・・・。

 この映画の結末は、渓谷から去って行った女性の「再生」を暗示するだけある。

 男には希望はない。



 昨日から今日にかけて『よだかのほし』(監督・脚本:斉藤玲子、2012年、DVD)を観た。

 嫌みのない気分のよい作品である。

 映像も柔らかく垢抜けている。

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 宮沢賢治の童話「よだかの星」をモチーフに、自ら生きる力を取り戻していく女性の姿を描いたドラマ。幼いころに父と死別した本郷トワは、再婚した母親が許せず、故郷の岩手県・花巻市を飛び出し単身上京する。それから10年、故郷の母親と音信を断ち、ひとり寂しく東京で暮らしていたトワだったが、ある日、孫に手縫いの浴衣を届けたいという同郷の老婦人・町子と知り合う。しかし町子は事情ができて花巻に行かれなくなってしまい、トワが代わりに浴衣を届けることになる。主演は「森崎書店の日々」「わが母の記」の菊池亜希子。  映画・com

 賢治ファンのボクとしては、トワさんに共感して、そうかもねェと、思い思いしながら観た。

 近いうちにもう一度花巻をゆっくり歩いてみたい、そんな気にもなった。


 舌足らずな言い方だが、ボクなりの映画の分類があって、「大きな映画」「小さな映画」という区別をしている。

 『さよなら渓谷』はいうなれば「大きな映画」、『よだかのほし』は、「小さな映画」。

 分類の根拠は、ない、直感的なもの、つまりボクの印象でしかない。

 「大きな」「小さな」というが、それは作品の価値判断ではない。テーマの複雑さでもない。


 このところ、ボクは「小さな」ものに惹かれている。

 

 

 

More 『よだかのほし』DVDの紹介
by ribondou55 | 2014-02-28 23:58 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)
 昨日観た『キューティー&ボクサー』(監督・ザカリー・ハインザーリング、2013年)は、ビンボーもアートならお洒落といった感じ.

米ニューヨーク在住で「ボクシング・ペインティング」で知られる現代芸術家・篠原有司男とその妻・篠原乃り子に4年にわたり密着したドキュメンタリー。1932年生まれの有司男は岡本太郎の言葉に感銘を受け、前衛芸術に傾倒。60年に結成された芸術集団「ネオダダイズム・オルガナイザーズ」の中心メンバーとして活躍するなどし、69年に渡米。ジャンクアートやパフォーマンス、そして「ボクシング・ペインティング」で名を広め、80歳を超えた今もなお、若き日の反骨精神もそのままに創作活動を続けている。美術学生時代に有司男と出会って結婚した妻・乃り子は、そんな有司男との混沌とした40年にわたる夫婦の歴史を、自らの分身として編み出したヒロイン「キューティー」に託してドローイングでつづっていく。夫婦に魅了された29歳の新鋭ザッカリー・ハインザーリング監督が、アートという永遠のテーマと戦い続ける2人の姿を追った。 映画com

 
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 実際、篠原有司男の作品の前に立つとボクは何時でもにんまりしてしまう。

 いうなれば、パッションとユーモアといかがわしさの混沌、そんな感じで、くつろげるのだ。

 (いかがわしいというのは、褒め言葉です。)

 そうとはいえ、既に伝説上のお方かと、思っていたら、この映画でびっくらこいた。

 それに★第86回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート★ なのだそうだ。

 この作品は、有司男さんの80歳にしてなおも戦闘的なアート魂もいいのだが、妻・乃り子さんとの夫婦の過去と現在の在りように観るものはうたれる。

 まさしくラブストーリーでした。

 ビジネスマンと間違うような方がゲイジュツをなさっているかの感じがあるこの頃では、このお二人はやっぱり活きの良いレジョンドなのかも知れない。





 
 

 
by ribondou55 | 2014-02-25 09:46 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)
 DVDで『箱入り息子の恋』(監督・市井昌秀、2013年)を観た。

 『地獄でなぜ悪い』の星野源の映画初主演作品であったそうだ。

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 俳優でミュージシャンの星野源が映画初主演を飾り、内気で恋愛経験のない35歳の独身男が、目の不自由な女性に恋をしたことから急激に変化していく姿と、彼らをとりまく家族の姿を描いたドラマ。わずらわしい人付き合いを避け、職場と自宅を往復するだけの日々を送る市役所勤務の天雫健太郎は、彼女いない歴=年齢の35歳。そんな息子を見かねた両親は、本人たちにかわり親同士が見合いをする「代理見合い」をセッティングする。健太郎はそこで出会った今井夫妻の娘で、目にハンデを抱えた女性・奈緒子に生まれて初めて恋に落ちる。しかし、2人の行く末には思いがけない障害が立ちはだかり……。ヒロインの奈緒子を演じるのは、「天然コケッコー」の夏帆。黒沢清監督作「トウキョウソナタ」脚本でも日本の家族を題材にしたオーストラリア人の映画作家マックス・マニックスが原案。   映画comより

 傑作です。

 あの名脇役の「蛙」はなんというカエルなのでしょうか?

 「痩せ蛙負けるな一茶ここにあり  一茶」主人公天雫健太郎の奮闘に声援を送りました。勿論胸の内でです。

 いろいろな見方ができる侮れないラブストーリーでした。

 そのいちいちを書くのは、雪かきに疲れている高齢者には煩わしいので、・・・。


 ただ、視力障害者への理解を深めるというひとつだけとっても、昔々、学校にはあった、恒例の「映画教室」で観せたらいいな、と思います。

 オタク系ヘタレ青少年へのエールとなります。

 膨張して膨れあがった妄想的な性へのアコガレを少し浄化してくれます。

 ついでに、PTAのママ・パパにご覧いただけば、親ってどんなもんかを映し出すスクリーンにもなります。諸先生には、どっぷりつかった新自由主義に目が曇らされていたと、・・・・・・、気づくことはないか。


 なんといっても、いい気分で笑えます。

 いい気分で見終えることができます。

 
by ribondou55 | 2014-02-22 11:09 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)
 大雪から5日目であるが、たくさんの雪が残っていて、路面の至る所で凍結がある。

 昨日は、スパーから生鮮野菜のほとんどが消えた。

 コンビニでも弁当が販売されていないという。

 さて、本日はいかがなるだろう。

 ボクの畑はゴム長がすっぽり隠れるほどの深さの雪に一面おおわれていて、手がつけられない。

 大根や葱のストックが切れてしまうので、収穫したいのだが、冷たい雪を相手に面倒くさい。

 まして、ほうれん草や春菊はほりだすこともできない。

 こんなだから、ねぎ一本100円に配偶者が驚いていたが、そんなものだろう。

 じゃがいもの植え付けを予定していた人は、焦っているかもしれない。

 ボクは、今年はジャガイモは、食用の残りを植えようと思っていたので、余り気にしていない。


 さて、昨夜観たDVDは『暗闇から手をのばせ』(監督・戸田幸宏、2013年)である。



 映画comの紹介をコピーしておく。

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 グラビアアイドルで女優の小泉麻耶が、障害者専門のデリヘル嬢を熱演したドラマ。「楽そうだし、体が動かないから怖くなさそう」という軽い動機で障害者専門のデリヘル業界に飛び込んだ沙織は、全身タトゥの入った進行性筋ジストロフィー患者、自らの障害をネタに本番行為を要求する常連客、バイク事故で自由を奪われ殻に閉じこもる青年といった客たちに出会い、衝撃を受ける。しかし「それでも生きていく」ことを選んだ男たちに接するうち、沙織のなかにある変化が訪れる。NHKの番組などでディレクターを務めてきた戸田幸宏監督の長編映画デビュー作。第23回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター・コンペティション部門でグランプリを受賞した。

 ボクは、一昨夜晩観た『風切羽』に続いて、アタりであった、内容とはすこしチグハグかも知れないが、とても『いい感じ』で見終えた。

 ボクも数名の障害を持つ知人がいるが、デリヘル嬢の沙織さんのような接し方が、もっともよいと、経験的に思う。

 もちろん、「その行為」を指すのではない、障害者に向き合う際の心持ちの問題でありますよ。

 これまで、自分の障害を率直に受け入れておいでの障害者の強さに何度もうたれることがあった、同じように向き合うこちらも彼や彼女のありのままを受け入れることがたいせつなのだと思う。

 小泉摩耶さんという女優さんを初めて知ったが、その「普通な感じ」が、とてもいい。

 大家が作った女中さん映画をふと思い出して、ボクは沙織さんのほうにシンパシーを感じた。(女中さんを馬鹿にしているのではない、大家のつくった女中さんのイメージは、間違うと、大家の意に反して「取り戻せ日本」的な心情を刺激して曲解をされる危険性があると思うからだ。歴史家は、明治から昭和初期にかけての子守や女中といった階層の人々の実態がどんなに過酷であったかをきちんと掘り起こしてほしいものだ。)

 戸田幸宏という監督は、物事をきちんとわきまえている方だという印象を受けた。近来においては、貴重な資質である。


 以上だが、昨日の散歩スナップ。道路脇に雪が山積みされているいつもの散歩道が、見慣れない路地の風景に見えてくる。どこか、見知らぬ迷路に迷い込んだかのようであった。

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by ribondou55 | 2014-02-19 10:25 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)

『風切羽』の切れ味

 山梨や秩父では大雪で多くの地域や住宅が孤立しているという。

 日が経つにつれて、近隣の被害の様子も見えてきた。

 我が家でも、屋根から落下した雪のために、つつじの植え込みや、植木鉢多数下敷きになったままだ。

 枝が裂けてしまった庭木も数本。

 近所では、連結して広くしたカーポートの屋根が軒並みやられてしまった。

 テレビアンテナの倒壊も多い。

 今日も、少し暖まったら、雪の片付けをつづけよう。

 小学生も今登校し始めた。

 日陰では至る所がまだ凍結している、転ばなければいいのだが。


 『風切羽』(監督・小澤雅人、2013年)をゆうべ観た。久々のTUTAYAレンタル。

 炬燵でDVDを観ると大体の作品が、テレビドラマに見えてくるのだが、この作品は映画館で観たかった思わせる1本だった。

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 これについては、シネマトゥデイの紹介が、気が利いているので引用する。

 チェック*深刻な社会問題である児童虐待をテーマにしたドラマ。家族からの虐待によって心に深い傷を負った女子高生が、ある青年との出会いを通して自分の居場所を見いだそうとする姿を見つめる。メガホンを取るのは、『最高でダメな男 築地編』などの小澤雅人。主役を『もっと熱いぞ!猫ヶ谷!!』シリーズの秋月三佳と『仮面ライダーウィザード』シリーズの戸塚純貴が演じ、複雑な内面を繊細に体現する。徹底したリサーチを基に生々しく描かれる、虐待被害者を取り巻く環境と現状に激しく胸を揺さぶられる。

ストーリー:母ユカリ(川上麻衣子)と姉サユリ(寺田有希)からの虐待が原因で、児童養護施設に措置されてきた高校3年生のサヤコ(秋月三佳)。ほかの入居者となじめず、間近に迫る措置終了後の進路もままならぬ状況が嫌になった彼女は、施設を飛び出す。行くあてもなく、母のアパートへと向かうものの年下の男と一緒に暮らす彼女はサヤコを相手にしない。夜の街で途方に暮れていると、道行く人々に「僕のこと、知りませんか?」と尋ねている奇妙な青年ケンタ(戸塚純貴)と知り合い、旅をしているという彼と行動を共にする。


 「激しく胸を揺さぶられる」かどうかは知らないが、切れ味がよい。目配りが冴えている。

 つまり、ラストシーンだ。

 あれこれとあって、サヤコもケンタも母の元へ、父の元へと帰って行く。

 虐待され続けてきた親の元へと戻って行く。

 児童虐待というのは、加害者も被害者もともにやっかいなケースが多いだろうが、傷の深さにおいては子どもの側が圧倒的にきついのはだれでも分かる。

 しかし、どんなに痛めつけれても子どもは親に愛されたいと思うのだろう。

 風切羽とは、羽ばたき飛行の際には推進力を得るという、プロペラ機のプロペラに相当する働きをするが、プロペラと異なり、揚力を得るという機能への変化が可能で、滑空時には次列風切と一体化し、揚力を得る「翼」となる。  ウィキより そうだ。

 暴力を通してしか子どもに接することができない親の子であっても、親に「遺棄」されてしまうというコトは、「翼」を切られてしまうことなのだろう。

 親の無い子のように生きて行くのは、むずかしいものだ。

 よい作品である。



 

 
by ribondou55 | 2014-02-18 10:03 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)
 午前中、雪の片付け。

 ご近所さん並に自宅前の通学路の雪を片付けた。

 それぞれの家の門前の雪を処理しないことには、自家用の車の出入りが出来ないということが、先ず第一だが、それが道路の復旧になる。

 おもしろいもので、特に申し合わせたのではないのに、自然発生的にそういうことになる。

 老人の一人暮らしのお宅では両隣の方々が片付けてくれた。

 ボクも高齢者であるからか、誰とも知らない方が手助けしてくれた。

 その方は、ボクとほぼ同じ年格好であったが、とても手際がよかった。

 お礼もきちんといえていない。

 妻は、近所の若いお父さんに助けてもらったそうでご機嫌である。 


 そんな風でもあるが、まったく関わりを持つ気持ちのないお宅もあって、おかしかった。

 ボクは、そういうことには与しないと云う人も嫌いではない。

 退職後のつれづれは散歩を欠かすことはできない。

 そうであれば、向こう三軒両隣の皆さんに朝夕の挨拶は当然である。

 だが、それさえうっとうしいと、感じることもあるからだ。

 ところで、このあたりも自治会と云うものがあり、年に一度公民館の前庭で防災訓練があり、最後に豚汁が振る舞われて炊き出しのまねごととなる。

 自治会の役員さんはだいたい生え抜きの地元の方々で、それらの人々が仕切るのだが、こんな熊谷気象台の観測史上もかつてなかった大雪という事態に対して、まったく機能していないように見えた。

 お祭り騒ぎに熱心というのも大いに結構だが、こうしたときに何事か智慧と行動力を示せないと、いざ大地震のような時になんの役にも立てないだろうと思う。

 「自治」という名が、泣くというものだ。

 いやいや、「自治会」のお偉方の大好きな、「お国」の方からしてようやく今頃になって、のろのろと、非常事態と気がついたご様子だから、言わずもがなであろう。


 さてさて、本題は・・・・、もっと楽しいコトであったはずだ。

 HULUで観る「The Closer」に、このところはまっている。

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 「クローザー(原題:The Closer)」は、アメリカCATV・TNTで2005年6月25日から2012年8月13日まで放送された刑事ドラマだそうだ。

 よくできたお話と主人公のブレンダ・リー・ジョンソンを演じるキーラ・セジウィックがいいのだ。

 中年女性のタフさとかわいらしさを楽しませてくれる。

 1話45分のものを二本続けてみる。これで、このところ映画みたい的な欲望が、沈静させられるのだ。

 こうもはまるとは、ボクは本当は熟女好きであったのだろうか?

 今日は、雪片付けに疲れてしまって、午後はこたつにかじりついて時を過ごしながら観たのだ。

 一本見終えて、妻にお腹がすいたというと、冷凍たこ焼きならあるわよ、という。

 果たして、意外に美味しいではないか。

 熱々のたこ焼きとやり手のおばはんの組み合わせは、ベストマッチだ。


 今週は、水曜日から木曜日にかけて、また、太平洋側に低気圧、雪の予報。
by ribondou55 | 2014-02-16 18:05 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。誤字誤記多し、恐縮。


by 泡六堂