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  一滴の水が
  大河の流れの始まりであったと
  して
  そのひとしずくは
  どこからきたのやら

  年老いるということは
  迫害をうけるに値することであった
  人は
  おおよそにおいて愚であると
  骨身に刻んではいたが

  一滴が
  大気のかすかな揺らぎから
  蜃気楼のような不確かなものとして生まれ
  やがて
  春蘭あたりから暮れて行く

  今日
  老いた母の悲嘆を見た
  小さく見開いた目は暗く
  皺のよった顔はあくまで透明で
  静かにほつほつと泣く

  雫はやがて確かな球形をなし
  しばらくは
  光もなく
  世界をうかがって
  やがて空へ身を投じた

  ようなき身に成り果てたと
  わが身へ我を言い聞かせても
  思いは身を切り
  嘆きは舌を染め上げる
  母よ、我は子なるに

  一滴は
  己の行く末など知らない
  水にことばは不要
  空中の透明は
  その一滴を見失う 



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by ribondou55 | 2006-07-30 22:19 | よしなしごとあれこれ | Trackback | Comments(0)


   来し方は雨降る音を聴くばかり      李凡堂

   一本の樹木も生きる雨の中

   妻とゐて津軽十三しじみ汁

   のうぜんに絞めらている孤独かな

   松葉牡丹濡れて友の逝く


  

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  旅に出よう。
  旅に出れば、
  もう一人の自分の後ろ姿が、
  教会坂の
  日陰暗闇に
  曲がって行く

  去っていった自分は
  なじんだはずの自分のようで
  行かれてしまった自分が
  ここに取り残され
  ううううううう
  喉の奥で唸ったり
  咳払いしても
  こうして
  ベッドの上に投げ出された自分は
  もはや
  赤の他人のようで

  旅に出よう
  旅に出れば
  夢の
  枯れ野に
  行き倒れた
  自分に出会える








by ribondou55 | 2006-07-24 21:46 | のらり句らり | Trackback | Comments(0)


   鳥たちは脚細ければなり空に在る  李凡堂

   この夏は合歓の花見ず雨ばかり

   呪術なす化粧人悲鳴凌霄花 

   珈琲豆挽く間へっらっと嗤ふ

   蚊をたたけば見えない敵嗤ふ

   雨溜りぼうふらくねくね生き残る

   亀売りの店先数学教師が屁

   「早送りのボタンどこ」百合の花



      
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 このところMDウオークマンというものを、持ち歩いている。
 手に入れたのは一枚1GというMDが使えるもので、かなりの枚数のCDが録音できる。
 それで実感したのが、音楽というものを、繰り返し聴くことのおもしろさ。
 当たり前のことといえば、全くそうだが。
 便利なものだ。
 




 

by ribondou55 | 2006-07-23 23:03 | のらり句らり | Trackback | Comments(0)


  出目金よ自意識も腫れている    李凡堂



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by ribondou55 | 2006-07-17 21:37 | のらり句らり | Trackback | Comments(0)

  梅雨深し手足は細き少年兵     李凡堂

  梅雨深しわれ一匹の侏儒なり

  梅雨深しピアノは鳴つて宵に入る

  梅雨深し愛ばかりなる地獄かな

  梅雨深し斎場のまでの途を聞く

  梅雨深し除草剤撒く三途辺

  梅雨深し命は「生」の俘虜なるや

  梅雨深し足袋を汚すは死者ばかり

  梅雨深し文のことばのほつほつと

  梅雨深し娼婦コンビニ鮭にぎり

  梅雨深し舞人淋しむ道理あり

  梅雨深しこの舟とうに碇捨てつ


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by ribondou55 | 2006-07-16 23:41 | のらり句らり | Trackback | Comments(0)

親子地蔵

  親子地蔵・・忘れぬ内に

  とある田舎町の
  ありふれた浄土寺へつづく道に
  二体の地蔵が佇でいる
  
  一仏はちょうど並の大人の背丈で
  もう一体は小学二三年生ほどの
 
  ぼくは勝手に親子地蔵と想っており
  前を通り過ぎるたびに
  涙ぐんだリする

  それは美しいお顔であるのだが、
  その美しさは
  昨日、朝日新聞の書評欄であみた
  ハンセン氏病の女性のお顔に通じている
  患者さんには大変失礼千万であるにちがいないが、
  美しくて

  親子地蔵のお顔は風雨に浸食され
  目鼻のあたりの緩やかな影で
  ようやくお顔立ちがはかれるのだが
  過ぎ去った時のいつか打ち砕かれたこともあるに違いなく
  親地蔵にも、子地蔵にも
  額のあたりに
  やや鋭角の窪みがある。
  因果応報経巡る「時」は依然として刹那として過酷でない時はないと・・・

  しかしながら傷も今は風雨に癒えているのやら
  淡い影ではある。

  親子地蔵の前で涙ぐむのは
  いわずと
  ぼくの屈託に発するのだが
  これは、
  ほんとに手に余る

  合掌
  
   

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by ribondou55 | 2006-07-10 09:21 | 合掌 | Trackback | Comments(0)


  韜晦の口さびしきに目刺し食ふ

  酎ハイに氷をもっともっともっと


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by ribondou55 | 2006-07-07 21:57 | のらり句らり | Trackback | Comments(0)


  梅雨に棲めば頬の痩けたるおんな鬼     李凡堂

  銃眼がニヤリとわらふ六月尽

  泥濘に獣の「蛸」棲むといふやら

  団地妻水飯かっ込む体臭

  星占や食パン一斤青黴びて


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by ribondou55 | 2006-07-04 23:29 | のらり句らり | Trackback | Comments(0)

水面を滑りまわって世を過ごし、その上、空を飛ぶ羽も持っているあめんぼは、老蛙の憧れだ。


by 泡六堂