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排されるに安んず、・・くそったれ。


  一滴の水が
  大河の流れの始まりであったと
  して
  そのひとしずくは
  どこからきたのやら

  年老いるということは
  迫害をうけるに値することであった
  人は
  おおよそにおいて愚であると
  骨身に刻んではいたが

  一滴が
  大気のかすかな揺らぎから
  蜃気楼のような不確かなものとして生まれ
  やがて
  春蘭あたりから暮れて行く

  今日
  老いた母の悲嘆を見た
  小さく見開いた目は暗く
  皺のよった顔はあくまで透明で
  静かにほつほつと泣く

  雫はやがて確かな球形をなし
  しばらくは
  光もなく
  世界をうかがって
  やがて空へ身を投じた

  ようなき身に成り果てたと
  わが身へ我を言い聞かせても
  思いは身を切り
  嘆きは舌を染め上げる
  母よ、我は子なるに

  一滴は
  己の行く末など知らない
  水にことばは不要
  空中の透明は
  その一滴を見失う 



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by ribondou55 | 2006-07-30 22:19 | よしなしごとあれこれ | Trackback | Comments(0)

水面を滑りまわって世を過ごし、その上、空を飛ぶ羽も持っているあめんぼは、老蛙の憧れだ。


by 泡六堂