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「霧」のオノマトペ

 
 前回の宮沢賢治つながりで。

 
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 宮沢賢治を語る書物は、あきれるほど世に存在するが、この本は一風個性的で好きだ。

 帯に「賢治の童話のなかから157のオノマトペをご紹介します。」とある。


 例えば「霧」に関するオノマトペ。

 今日は陰気な霧がジメジメ降ってゐます。「貝の火」より

 霧がツイツイツイツイ降って来て、あちこちの木からポタリッポタリッと雫の音がきこえて来ました。「十力の金剛石」より

 霧がトントンはね踊りました。「十力の金剛石」より

 霧がポシャポシャ降って、もう夜があけかかってゐます。「貝の火」より

 きりはあめにかわり、ポッシャンポッシャン降って来ました。「十力の金剛石」より


 面白い。


 ボクの持っているのは古い「校本 宮澤賢治全集」だが、その第七巻のどこのページを開いても、行間にオノマトペが跳ね回っている。

 オノマトペを多用する文章は、幼稚なものになりやすいと、昔どっかで聴いたか読んだかしたが、賢治童話では大きな魅力の一つだ。

 
 オノマトペの使い手でもあった中原中也は、賢治の詩についてこういった。

 宮澤のオノマトペがどこからやってくるかという問いのヒントになるような気がする。


 彼は幸福に書き付けました、とにかく印象の生滅するまゝに自分の命が経験したことのその何の部分をだつてこぼしてはならないとばかり。それには概念を出来るだけ遠ざけて、なるべく生の印象、新鮮な現識を、それが頭に浮ぶまゝを、――つまり書いてゐる時その時の命の流れをも、むげに退けてはならないのでした。
 彼は想起される印象を、刻々新しい概念に、翻訳しつつあつたのです。彼にとつて印象といふものは、或ひは現識といふものは、勘考さるべきものでも翫味さるべきものでもない、そんなことをしてはゐられない程、現識は現識のまゝで、惚れ惚れとさせるものであつたのです。それで彼は、その現識を、出来るだけ直接に表白出来さへすればよかつたのです。



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by ribondou55 | 2019-02-02 00:11 | 読み捨てご免 | Trackback | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。誤字誤記多し、恐縮。


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