しろじろとひかる深谷葱一車とどめて売れり風あらきなか  寿蔵

 山本健吉編著「句歌歳時記 冬新年」に見えた歌である。

 アララギの歌人・鹿児島寿蔵は、昭和二十年熊谷市に疎開し、以後七年ほど当地で暮らしたそうだ。

 山本健吉の評。

 埼玉県深谷産の葱は、上州下仁田葱と並ぶ、関東産葱の代表。突っ風の中で売る深谷葱の白さが、目にしみる。

 その通り、美味い葱である。

 
 熊谷は深谷市に隣接する、車を引いて葱売りがやってきていたのだろう。

 ここでの、「しろじろとひかる」葱は、泥を洗われきちんと始末された葱である。

 空っ風が吹き下ろし、酷いと大粒の土埃が顔を打つ、目を開けていられないほどになる、そんな中で収穫し、綺麗に洗って売りに出る、たいした労働であったはず。

 深谷葱は、いうまでなく白い部分を食べるものだ、白いというのは地中にあるからであって、つまり、収穫するためには、白い部分が長いほど深く掘り出さなくてはならない。

 この頃は、機械化されているが、昭和二十年ごろであれば、すべて手掘りであったはずなのだ。

 「しろじろとひかる」には、手間がいるのだった。

 
 我が家でも、深谷葱は重宝しており、人に贈ることもある。

 ただ、泥付である。

 横着をしている。


 で、この頃はこんなだ。

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by ribondou55 | 2017-01-08 22:05 | 舌の幸い | Comments(0)