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「栗」入手の顛末

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 子どもたちがそれぞれに自立し、家を離れてくと、残された老人夫婦は、その子どもたちがたまに「顔」を見せてくれることがどんなに嬉しいモノか・・「的な」お話は広く支持されている。

 ボクは、そんことはあるまい、親のすねかじりのガキ共が消えてなくれば、どんなにかせいせいするだろうと、思ってきた。

 ところが、案外そんな風でもないと、いうのがこのごろの気持ちである。

 別に無事に暮らしていればそれでいいのダと思うのだが、やはり「顔」を見ると、安心感がちがう。

 この連休には、子どもふたりとそれぞれの連れあいの「顔」を見るのだ。

 昨夜は、息子夫婦の「顔」を見た。

 明日は、娘夫婦がやってくる予定だ。

 そこで、老妻はさて、何をごちそうしようかと、二週間前から作戦を練っている。

 ようやく、季節柄「栗」ご飯と決まった。

 ところが、その栗の入手に、この数日苦戦した。

 この近辺で栗を手に入れるには、JAふれあい農産物販売所で購入するのが王道である。

 新鮮だし、品物に信頼感がある。

 そこで、この数日、妻は開店直後のお店に出向いたのだが、二度買いそびれた。

 一足遅かったのだ。

 昨日の夕べ、もう栗はあきらめたと、未練たらたらにこぼすので、では、「明朝はアルバイトのあなたに代わって、俺が買いに行こう」と、つい言ったしまったのだ。

 そこで、今朝、ボクは八時三十五分には、販売店の駐車場に着いた。

 そこで、開店を待つ七、八人の中年肥のおばさんたちの列を見いだした。

 嫌な感じがした、あの人たちの尻に並ぶべきか、開店を車の中で待つべきか、迷った。

 開店は、九時。

 すると、トイレから出てきた老夫婦が列に加わった、気づくと、どんどん駐車場が埋まってゆく。

 ぼんやりしてはいられない。

 列の尻に立つと、皆さんあっちこっちの販売店の情報交換に余念なし。

 とにかく、九時十分には、完売するという。

 地元民は少数、かなりの遠方からネット情報を頼りにやって来ていることを、おばさんトークから確認して、吾が老妻が、ドジを踏んだのも、もっともだと思った。

 さて、待つこと二十分、開店が待ち遠しい。

 やがて、九時。

 しかし、ブラインドが下がったまま。

 先頭の中年男性(この人は「農産物買い」に精通している、列の先頭にいて、どのような品物が出ると列が長くなるか?おばちゃんたちに解説してた)、
この店は始末が悪い、定刻に開けたためしがないと、ぶつぶつ云いながら、自動扉をこつこつと叩く、叩く。

 すると、内側に、こういう事には気の利かなそうな色白の青年が、うつむきがちにブラインドを上げて、扉が開いた。

 店内放送、「走らないで順番にお願いします。」

 みなさん、栗のテーブルに一目さん。

 ボクも、行く行く。

 おばさんの誰かが「リヘイ」がいいのよ、と大きな声で言った。

 すると、みんな「リヘイ」探しに目を更にし始めているところへ、ようやくボクは到着。

 おばちゃんも、おじいちゃんも「リヘイ」「リヘイ」。

 でも、ボクはリヘイも減ったクリもない、栗は栗、区別不能とすぐにあきらめて、手前をザッと観て、値段が・・・、一袋950円、・・・・、法外な値段、・・・ぶったクリ・・・、とか・・・・、で、なんだが、めらめら購買衝動が燃え上がって、・・・、気づくと、二袋掴んで、・・・、レジに行った。

 一番レジ通過者は、あの蘊蓄男性であった、さすがに手早い、三袋お買い上げであった。

 次いで、無知蒙昧なボク、二袋。

 レジを待ちながら、ちらっと見ると、お婆ちゃんたちは、クリの棚の前で、まだまだ、購入選定に熱中していて、その中にいるはずもない老妻の幻を見たような気がして、「おお、あさましや」と思わずつぶやいて、店をそそくさと出たのであった。



 

 

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by ribondou55 | 2016-10-09 11:13 | 舌の幸い | Trackback | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。誤字誤記多し、恐縮。


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