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『最愛の子』を観て。

 『最愛の子』(監督・陳 可辛〈ピーター・チャン)、2014年)を観た。

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 2009年7月。中国・深センの下町で寂れたネットカフェを経営するティエン(ホアン・ボー)は3歳の息子ポンポンと二人暮らし。離婚した元妻ジュアン(ハオ・レイ)は、週に一度だけポンポンと一緒に過ごしていた。ある日、近所の子どもたちと遊びに出かけたポンポンは、ジョアンの車が通りすぎたことに気付きあとを追いかけるが、車を見失ったポンポンを何者かが連れ去ってしまう。夜になっても帰ってこない息子を心配したティエンは警察に通報。だが失踪後24時間は事件として扱えないという。自力で捜そうと駅へ向かうがポンポンは見つからず、その後訪れた警察署でティエンは防犯カメラの映像に男がポンポンを抱いて連れ去る姿を目にする。その日からティエンとジュアンの息子捜しが始まった。インターネットで情報提供を呼びかけるが、報奨金目当ての詐欺かいたずら電話ばかりが掛かってくる。罪の意識と後悔に苛まれながら二人はポンポンを捜し続けるのだった……。失踪から3年が経った2012年の夏。ティエンの携帯にポンポンと見られる男の子が安徽省にいるという着信が入る。深センから遠く離れた安徽省の農村を訪れたティエンとジュアンは遂に息子を見つけ出すが、6歳になったポンポンは両親である二人を全く覚えていなかった。ポンポンが母ちゃんと慕うのは、ホンチン(ヴィッキー・チャオ)という育ての親。ホンチンは「自分は不妊症で子どもが産めず、夫が深センの女に産ませて3年前に連れてきた」と主張するが、実際は一年前に死んだ彼女の夫が3歳のポンポンを誘拐し安徽省に連れてきたのだった。初めて知らされるその事実にホンチンは困惑するばかりであった……。半年後。ティエンとジュアンは、いまだに「家に帰りたい」と言うポンポンの愛情を何とかして取り戻そうと日々心を砕いていた。そんな中、ホンチンもまた、子を奪われた母として我が子を捜しに深センへと向かっていた……。


 Movie Walker から、ストーリの紹介をお借りする。

 複雑なドラマなのだ。

 監督は、ことの奧深くまで踏み込んで、被害者と加害者が、「最愛の子を」奪い合う過程で、共に酷く傷んでゆくありさまをよく描いている。

 我が子は、最愛の存在である、執着してもしてもしきれない。

 この映画の見所は、誘拐された両親(今は離婚していて、妻は再婚している)が子どもを奪還するまで苦闘もさることながら、誘拐犯の妻が、子どもが連れ戻された後の、いはば「育ての母」の喪失感にまでストーリーを繋げてゆくことのある。

 つまり、そこに垣間見えるのが、めざましい経済成長の中での、都市と農村の格差であり、金に飲み込まれてゆがんでゆく価値観であり、モラルの崩壊であり、家庭の変容であり、・・・、まあ、何でも云えるのだ。

 そのどれもが、ボクの国でもかつて起きていて、そのなれの果てが、「現在」である。

 勿論、誘拐事件が日本でもあるのだが、この映画から見えてくるほどの頻度で起きているわけでない。

 誘拐した子どもを売買する、そんなことも考えられない。

 しかし、金がすべての世の中であることは、この国も同じだ。

 ともあれ、子は最愛の存在であることは、確かだ。


 

 

 
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by ribondou55 | 2016-05-13 12:03 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。誤字誤記多し、恐縮。


by 泡六堂