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「今日もひとり」 石垣りん

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 今日もひとりの
              石垣りん

 ビルが建つ
 事務所が足りない、という
 卑近な目的にかりたてられて
 東京中にたくさんのビルが建つ。

 そのかしましい響きの中で
 今日
 「また一人工事現場で死んだよ」
 と、さりげない人々の物語り、

 あの危険な生活の足場から
 木の葉よりも軽く
 撃たれた小鳥よりも重くどさり、と落ちて死んでしまった。

 「それはね、一つのビルが建つには
 たいていあることなんだ」
 誰もが日常茶飯の中でそう言い捨てる
 この近世の非情に対して
 私たちは無力に相づちをうつのであろうか。

 その目の中に太陽を宿し
 その胸に海をいだき
 こころのぬくもりで
 むざむざと失ってならないものが
 たやすく否定されたりする

 たとえばひとつの建築
 あるいは大きな事業のためには
 ”やむを得ない”などと、
 だから
 平和のためのいくさ
 などともいえるのだろうか。

 道に横たえられていた鉄筋が
 生きているもののように立ち上がり組み立てられる
 その建築の
 その目的の
 それが造る人ひとりひとりにきざまれた
 希望であり
 目的であるような
 そのようにいのちも心も生かされる
 人間の仕事はないものだろうか、
 もしそうであったら
 建築と共に残る私たちの歴史は
 どんなに輝かしいことだろう。

 今日また一人のひとが足場から落ちて
 死んだ、
 あの危険な場所へ登って行ったのは
 ビルを建てる願いのためではなく
 食べるため
 或いは食べさせるrために
 
 今日もひとりの人が死んだ。



 よい陽気なので、終日畑の手入れをした。

 とりあえずは、ジャガイモを植えるためにだが、ついでに冬野菜の残りや、はるキャベツ、菜の花、イチゴ、かき菜、ネギ、玉ねぎなんかが育つ畝と畝の間をスコップで掘り起こし、牛糞たい肥を入れた。

 例によって、トランジスタラジオからイヤホーンで音楽を聴いたりしながらだが、大体は参議院の予算委員会の中継だった。

 腹が立つよりあきれた。

 あきれた。

 答弁に立つ首相Aやもろもろの大臣やら官僚やら

 質問する与党・野党の議員さん

 ぜーんぶ、残念。

 そこで、りんさんの詩を思い出した。

 こんなこころやまなざしが奴らには、まったくない!あるいは、どこかに置き忘れしまっている。

 尊大で

 はしたない。
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by ribondou55 | 2016-03-18 21:02 | この一首その一句 | Trackback | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。誤字誤記多し、恐縮。


by 泡六堂
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