『収容病棟』、そして『パーフェクト センス』

『収容病棟』(監督 ワン・ビン、2013年)前編2時間2分 後編1時間55分のドキュメンタリー、高崎で。

『無言歌』で、がつんと、やられた監督だ。

 「鉄西区」3部作や「三姉妹 雲南の子」「無言歌」などで国際的に高い評価を受けるワン・ビン監督が、中国・雲南省の隔離された精神病院に3カ月半密着したドキュメンタリー。その病院には、暴力的な患者、非暴力的な患者、法的に精神異常というレッテルを貼られた者、薬物中毒やアルコール中毒の者、さらには、政治的な陳情行為をした者や「一人っ子政策」に違反した者、20年以上にわたる入院生活を送る者など、さまざまな患者が暮らし、「入院」というより「収容」といった様相を呈している。社会から隔絶された鉄格子の中でも互いにいたわりあい、愛を求める患者たちの日常を寄り添うように撮影し、その実態を映し出していく。 (映画comより拝借)

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 きついなあ。

 [映画.com ニュース〕の監督インタビューから、

 中国当局は2010年に精神病患者1億人と発表。今作の舞台となった病院では、200人以上の患者が収容されており、暴力的であったり、薬物やアルコール中毒の患者のほか、政治的な陳情行為をした人間もいる。患者たちは社会から隔絶された環境の中でも互いにいたわりあい、愛を求めている。そんな被写体の日常をワン監督独特の距離感でカメラに収め、観客を病棟の中に引き込んでいく。

2003年に北京の精神病院での取材を考えたが、許可が下りず企画は棚上げに。そして時を経て2012年、雲南省で撮影が可能となった。「10年ほど前に訪れた北京の病院の患者は、文化大革命後の70~80年代に病気になった人が多かったです。しかし、今回撮影した雲南省の患者たちは、現代中国の社会から来る様々な原因によって、心を病んだ背景があると思います」

 リサーチや撮影を通じて、10年、20年という単位で長年閉じ込められ、家族に見捨てらた状態の患者もいることを知った。「毎日患者と接していると、ひとりひとりの病状を把握できるようになります。そうすると彼らがここに入ってきた理由や、家庭環境というものがだんだんとわかってくるのです。その中で、特に病人ではない人がいるということもわかりました。ある若い男性は頑な性格で、他の人とちょっと違うというだけで、病気とまでは言えないのに収容されています。それを見ていると、我々もある日何かの事件がきっかけで病人扱いをされ、病院に送り込まれる可能性があると強く感じました」

 「特にこの映画には政治的なメタファーを持たせていません。ただ病院にいる人たちがどうやって生きているかという自然な姿を撮ったに過ぎないのです」
 
 この映画はそういうことと、受け止めよう。

 『パーフェクト センス』(監督 デヴィッド・マッケンジー、2012年公開)、こっちはHuluで観た。

 五感が徐々に失われていく謎の奇病が世界中に蔓延していく中、残された時間と静かに向き合っていく一組のカップルの運命を静謐な筆致で描き出した異色のヒューマン・ラブストーリー。主演は「スター・ウォーズ」シリーズ、「ゴーストライター」のユアン・マクレガーと「ドリーマーズ」「007/カジノ・ロワイヤル」のエヴァ・グリーン。監督は「猟人日記」「愛とセックスとセレブリティ」のデヴィッド・マッケンジー。
 ある日突然、人々の間で嗅覚が失われる不思議な症状が多発する。“SOS”と名付けられたこの原因不明の感染症は、瞬く間に全世界へと蔓延していく。しかも、感染した者は嗅覚ばかりか味覚や聴覚など五感の全てが順次奪われてしまうのだった。人類存亡の危機に直面し、SOSの原因究明に奔走する感染症学者のスーザン。ある時、自宅アパートの前にあるすっかり開店休業状態のレストランのシェフ、マイケルに声を掛けられ、料理を振る舞われる。ほどなく恋に落ちる2人だったが、彼らもまた、感染症の脅威から逃れることができなかった。

allcinema より

 
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 これが結構面白かった。

 仏教の人間観の大本に「十二処」ということがある。
 

 六根のうち「意」のみ残して、五根を失うのである。

 果たして、それでも、人は人たれるか?
 
 映画は?

by ribondou55 | 2014-09-12 22:28 | 還暦シネマ | Comments(0)