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「三文役者」いい作品でした。

 「三文役者」(監督:新藤兼人・2000年)を観ることができた。

 たとえDVDであっても、観る時間が得られることが、ありがたい。

 俳優殿山泰司は1915年生まれ、 1989年4月30日に亡くなった。その殿山の「伝記映画」のような体裁をとっている。全部が全部事実に基づかないとしても、その人なりはよく伝わってくる。

 その殿山を竹中直人が演じている。

 殿山以上に灰汁の強い竹中という俳優の演技が、次第次第に殿山という俳優のボクの中の「記憶」と重なり、融合し、同一化してゆくように見えてくる。
 
 もちろんその人物像は、実在の殿山の再現ではなくて、いうなれば、「三文役者」と自称するひとりの新たな人物が立ち上がってきているのだ。それは、コロッケなどのの物まねの巧みさとは、ちょっと違うものだ。

 その「三文役者」と実在の「殿山」との微妙なギャップを、音羽信子が作中の「たいちゃん」へ、確かにあったことの「思い出」として語りかけるという仕掛けをとって、埋めてゆく。

 さて、その音羽信子は,1994年に亡くなっている。而るに、この作品は2000年公開、撮影時期を前年とすれば、生前の音羽信子と作中の殿山=竹中との対話なのである。」ボクは、こういう仕掛けをしくむこの監督に
ちょっと、空恐ろしさを感じてしまう。殿山本人は、1989年の没であるのだ。

 おもしろい構成だ、というだけではちょっと、おさまらない感じがする。

 「たいちゃん」の愛人を演じる荻野目慶子がとてもいい。ほそく華奢でながい腕を振り上げて河内音頭を歌う姿は、真に健気で愛すべきものがある。とにかく生き生きしている。こんな女優でしたか。

 勿論、正妻?の吉田日出子の存在感はいうまでもなくいい。

 新藤作品の、自注的解説も随所にあって、それそれでおもしろい。

 いいものを観たとおもう。

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by ribondou55 | 2012-10-17 23:20 | 還暦シネマ | Trackback | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。誤字誤記多し、恐縮。


by 泡六堂
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