いつもながら、申し分ない作品でした。

 「あなたへ」(監督・降旗康男 2012年)を観た。

 満員であった。おそらくは世代的には、ボクら夫婦と同年代。シニア割引世代である。

 高倉健と田中裕子の共演は「夜叉」「ホタル」と続いている。

 申し分ない。

 今作品の物語の設定は、今のボクら夫婦の現実に重なることが多かった。こんなのは、ちょっとめずらしい。

 

 なかなか、厳しい内容であった。人の存在にかかわる普遍的な問題である。

 これが芭蕉と山頭火の「旅」を例にとって解説される。

 つまり、山頭火の「漂白の旅」こそが、つまり人が生きるということだ、と。

 
 人の人生は、帰る場のない「漂白」である、とボクは聴いたように思う。


 田中裕子が歌う「星めぐりの歌」が、とてもいい。

   星めぐりの歌
              宮澤賢治


    あかいめだまの さそり
    ひろげた鷲の  つばさ
    あをいめだまの 小いぬ、
    ひかりのへびの とぐろ。

    オリオンは高く うたひ
    つゆとしもとを おとす、
    アンドロメダの くもは
    さかなのくちの かたち。

    大ぐまのあしを きたに
    五つのばした  ところ。
    小熊のひたいの うへは
    そらのめぐりの めあて。

 亡くなった人の魂が、この星をめぐるのだと、ボクはいつの頃からか思っている。


 山頭火では「草木塔」の中のこの一文が、好きである。

 私はやうやく『存在の世界』にかへつて来て帰家穏坐とでもいひたいここちがする。私は長い間さまようてゐた。からだがさまようてゐたばかりでなく、こころもさまようてゐた。在るべきものに苦しみ、在らずにはゐないものに悩まされてゐた。そしてやうやくにして、在るものにおちつくことができた。そこに私自身を見出したのである。
 在るべきものも在らずにはゐないものもすべてが在るものの中に蔵されてゐる。在るものを知るときすべてを知るのである。私は在るべきものを捨てようとするのではない、在らずにはゐないものから逃れようとするのではない。
 『存在の世界』を再認識して再出発したい私の心がまへである。


 
 結論、やはり、高倉健はいい、としかいえない。


b0018682_22125767.jpg










 
[PR]
by ribondou55 | 2012-08-26 22:10 | 還暦シネマ | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。


by 泡六堂
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31