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春立つ日魚と女とあらはるる    李凡堂

 「ブンミおじさんの森」(監督: アピチャッポン・ウィーラセタクン  タイ映画・2010)

 DVDで観た。

 不思議な映画であるが、決して遠いものでないように思った。

 字幕では幽霊とあるが、19年前に亡くなったブンミの妻が当たり前のように出現し、暮らしはじめる。猿の妖精となった子供が、時を同じくして顕れる。
 
 生と死の境界が溶け出し、不思議な世界が立ち現れてきたように見えるが、とてもそれが調和的で、恐怖とはほど遠い、ある意味では癒しに似た感情を呼び覚まされる。
 
 まして、死が間近に迫っていることを確信しているブンミにとっては、・・・・・。

 やはり、「森」である。

 「森」は、異界への通路であり、その奥はまさしくこの世でない。それは、たぶんボク等の祖先もきっと抱いていたはずのことだろう。

 猿の妖精たちの紅い目の輝きは、とても印象的だ。ボク等はあの紅い目でじっと見られているのでないか。

 たとえば、新宿の花園神社近くの薄暗い露地の暗がりにも、あの紅い目的なものがいて、・・・・。

 突如現れる「王女」が滝壺に入水して水の妖精に身をゆだねる。その恍惚の表情。

 「森」そうした出来事を記憶している。

 おそらく、ボク等の前世の姿も・・・・、といってみたいが、・・・・・・・?

 それにしても、映像が美しい。
 
 言い方がとってもまずいが、「アート」っぽい。

 ブンミが亡くなった翌朝の洞窟に差し込む光とその奥に陰りの闇の深さのコントラストは、見事だ。

 不思議な映画であったが、脳みそのしこりをちょっとふるわせてくれたようだ。


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by ribondou55 | 2012-02-04 22:51 | のらり句らり | Trackback | Comments(0)

花より団子、団子より昼寝がよろしい「隠居蛙」の日常をポロリ。誤字誤記多し、恐縮。


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